【インタビュー】趣味の街、秋葉原が変えてくれた人生 | 案内ガイド・秋葉るき

独特の雰囲気や熱気に包まれた、唯一無二の町、秋葉原。日本のアニメーションやマンガは、世界に誇れる文化になりつつある。その文化の発信源である“アキバ”の地で、案内ガイドとして活動する秋葉るきさんも、この街の虜になった一人だ。今では魅力を発信する側になった彼女は、どこに惹かれ、今のアキバをどう見ているのだろう。少し、話を訊かせてもらった。

秋葉原は、「宝箱」のような存在

―さっそくですが、秋葉るきさんの現在のお仕事(活動)について、教えてください。

秋葉るきさん(以下、秋葉) 私はいま、Akiba.TV株式会社が運営しているAkiba Deep Travelという旅行事業部で、ツアーガイドをしています。秋葉原の面白さを伝えられるように、ガイドのリーダーとして、いまは活動しています。

―秋葉原を中心に、ガイドをするんですか?

秋葉 そうですね、ガイドができるメイドとして。
メイド、アイドル、マンガ、アニメ。秋葉原にはいろいろなコンテンツがあって。秋葉原に何度も足を運んでいるうちに、まわりにどんどん勧めたくなって。自分の案内を通して、秋葉原を知って、好きになってくれるひとが増えてくれたらなと。

―ガイドになろうとしたきっかけは、自分自身が秋葉原に魅了されたからなんですね。

秋葉 はい。昔は引きこもりで、友達もぜんぜんいなかったんですよ。家でラジオ聞いたり、絵を書いたり、アニメを見たりっていう生活をしていて。学校でも美術部で、もくもくとマンガを描いたりとか。
でも日々を過ごしていくなかで、やっぱりそういう自分を変えたいと思っていました。
それで高校時代、友達に連れられてコミックマーケット(世界最大の同人誌即売会)に行った帰りに寄ったのが、秋葉原だったんです。マンガやアニメを好きなひとが集まる町があるんだとそこで知って。大学生になって都内に移り住むようになってからは、趣味が同じ友達をつくりたいと思って、何度も秋葉原に通いました。
秋葉原に通ううちに、どんどん詳しくなって、ひとを案内したいという気持ちが強くなったんです。自分がどんどん変わっていきました。

メイドという仕事があって、それもすごく興味があったんです。けど、私の住んでいたところが茨城で、移動にもすごく時間がかかっていたんです。それでアルバイトの採用基準が満たせなかったんですけど、そんなとき、案内所という、ちょうど時間的に働ける場所があって。自分の好きな秋葉原を案内することができるというのが、すごくやりがいになりました。
店という、限られた空間にやってくるひとをもてなすメイドさんよりも、秋葉原という町にやってくるひと全体をもてなせる(案内できる)ガイドというのは、すごく良いと思いました。

―じゃあ、そのまま案内ガイドの道に?

秋葉 いえ、一度大学を卒業すると同時に、アパレル企業のほうに就職したんです。でも勤めながらも休日には秋葉原に通っていましたね。で、そこに六年間務めたあと、個人の事業でツアーガイドを始めました。旅行とかそういうガイドには資格も必要だったので、いちから勉強して取得しました。そうやって活動していくうちに、ガイド仲間のひとが、現在の会社に誘ってくれました。

―秋葉るきさんを変えてくれた秋葉原の魅力は、どんなところにあるのでしょう?

秋葉 秋葉原は私にとって、「宝箱」みたいなところです。外見では何があるのかわからないけど、中を開けてみて探っていくと、こんな面白さが眠っているという、発見のある場所。
驚きや発見があるなかで、同じ趣味同士のひとたちがいる空間なので、すごく落ち着いて、安らぎこともできる場所。
好きなものや、好きなことがあるひとたちが集まってくる町なので、すごく人間的なパワーを感じる町でもありますよね。そういうところが、魅力になってくるんじゃないかなと思います。

―秋葉るきさんにとっての秋葉原は、第二の家のようなところなんですね。

秋葉 そうですね。居場所、というか。
家、と聞いて思い出したんですけど、よく訊かれるのは「そんなに好きなのにどうして秋葉原に住まないのか?」という質問で。
家から通う間の時間が、すごく好きだったからなんですよ。行ったら何をしようとか、どこにいこう、どんなひとを話をしよう、とか計画を立てて、自分を高めていく時間が好きだったんです。そういう気持ちを、いまでも忘れたくなくて、社会人になってからも秋葉原とは違う場所で住んでいます。

世界に発信されていく、日本のカルチャー。

―失礼ですが、こうやってお話をされている秋葉るきさんを目の前にしていると、とても昔は引きこもりだったとか、友達がいなかったという姿が想像できません(笑)

秋葉 そういうところは、やっぱり秋葉原という町が変えてくれたんだと思います。案内していくうちに、いろんなお客様と会うこともありますし、ありがとう、と最後にはお礼を言ってくれることがすごくうれしくて。元々ひととのコミュニケーションが苦手だったんですけど、どんどんガイドとして活動していきたいと思うようになりました。

実は昔、両親がこういったカルチャーをすごく毛嫌いしていて。マンガやアニメなんか、見つかったら捨てられちゃうくらい。でもいま、こうして秋葉原でガイドとして働いて、そういう姿や活躍を見てもらっているうちに、どんどん認めてもらえるようにもなりました。

―両親からの応援も得にくいなかで、頑張っていたんですね。

秋葉 はい。昔はオタクとか、嫌われやすい存在だったじゃないですか。マンガやアニメが大好きでも、ひとに話せずに隠しているひとも多くて。
けどいまは、マンガ、アニメの存在も当たり前のものになってきていて、好きなひとがいても全然おかしくないという風潮ができてくれて。時代がそういう風に変わってくれたという助けもありました。

―今年なんかは、「君の名は。」のブームもありますもんね。
日本のアニメやマンガ、海外に日本の文化のひとつとして伝わっているという話もよく聞きます。

秋葉 会社では秋葉原のツアーガイドとして活動しているんですけども、私個人でも、秋葉原の文化をとにかく広げる、ということをテーマにいろんな活動していて。
日本だけではなく、海外での活動もしているんです。いままで行ったのは、台湾と香港、南米のチリ。
個人でツアーをやっていたときに、台湾で会社をやっている社長さんに声をかけていただきまして。それが海外での活動の、最初のきっかけでした。台湾の方々に、台湾の町と秋葉原の町の比較を紹介するイベントだったり、台湾でのアイドルイベントやメイドカフェを企画させてもらったり。

そのあとは南米のチリで、「スーパー・ジャパン・エキスポ」をやりたいという主催のかたから、メイドカフェをプロデュースするお仕事をさせてもらって。実際にメイドさんのオーディションなんかもして。秋葉原のメイドカフェがチリにきた、というコンセプトのもと、メイドカフェの代表として参加させてもらいました。

香港ではコミックマーケットのようなイベントがあったので、そこでの出展と、ヲタ芸講座をやってきました。言葉がわからないなかだったので、とにかくパフォーマンスで魅せていきました。好評をいただいて、ステージも盛り上がれられたので、とても良かったです。

海外で個人の活動をしていくのは不安があったんですけど、現地のコスプレイヤーさんに出会ったりとか、日本のアニメが好きで、日本語を勉強して覚えたというかたにも出会ったり、たくさんの刺激がありました。そういった方も助けてくれて、心強かったですね。

―最近、テレビ番組なんかでも、コスプレをしてやってくる海外のかたを映していることが多いですよね。

秋葉 海外のかたのコスプレって、実はクオリティがすごい高いんですよ。日本のかたのコスプレと比べても、ぜんぜん違う。日本だとすぐに最近では、店に行けばすぐコスプレの衣装が変えてしまって。海外にはそういう店があまりないので、自分で手作りをされるかたが多いんです。そこでクオリティの差がでてくるのかなと思います。

最近だとインターネットも普及して、日本でやったアニメが、すぐに海外にも広まるようになりました。リアルタイムでやっているアニメのコスプレをしてくる海外のかたがいて、驚いています。

―実際に海外を見てきた秋葉るきさんの肌感でいうと、日本のそういったカルチャーはいま、かなり浸透していますか?

秋葉 していますね。昔と比べると、かなり浸透しています。日本でやっているアニメやそういう雑誌が、ほとんどリアルタイムでほかの国でも見られるようになっています。
さすがに南米とか遠い地域になると、少し昔のアニメをいまテレビで放映しているとか、そういう環境になっていて、流行が遅れるということはありますけど。それでも熱心なかたはネットで最新のアニメを探したり、自分で日本語を勉強して観ているひともいたりして。どちらにしても、かなり浸透していると思います。

―海外のかたもこうしてアニメに触れる機会が多くなっていますが、秋葉るきさんが最初に触れたときの一本は、どういったものだったんでしょう。

秋葉 自分がこういうものを好きになったきっかけの一本は、おおやけにはポケモンと言っていますが、「すごいよ!!マサルさん」というマンガがきっかけでしたね(笑)
ほかにも「スレイヤーズ」とか、「To Heart」とか、あと一番好きなのは、「kanon」ですね!とても好きです。

―失礼ですが、もしも余命が一ヶ月だけだとしたら、秋葉るきさんは何がしたいですか?

秋葉 私がいまやっている、「あきかふぇぷろじぇくと!」という、自分で企画した秋葉原を舞台にした物語があるんです。最近だと小説にしたり、声優さんに演じてもらったりしているんですが、それをアニメ化まで持っていきたいです(笑)

―なるほど。秋葉るきさんにしか書けない物語なんですね。

秋葉 そうですね。秋葉原を内側から見てきた自分が企画した物語になってます。
ガイドとしてはもちろん、こういう創作物でも、どんどん秋葉原を広められたらと思っています。

―最後に、秋葉るきさんの今後の目標を教えて下さい。

秋葉 秋葉原を少しでも広めたい、案内したいという思いでガイドをやってきているんですけど、やっぱり、自分ひとりの力だと限りがあるので、同じような気持ちをもっているひとをどんどん集めて、ガイドとして育てていきたいですね。広められる、案内できる力が、増えていってほしいなと思っています。

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