1年のうちで最も日照時間が短くなり、夜の時間が最も長くなる「冬至」。冬至の日はカボチャを食べたり柚子湯につかったり…と伝統的な行事がありますね。今回は2016年の冬至に行われるイベントをご紹介します。
【そもそも冬至とは?今年はいつ?】
■冬至の定義
出典:Dai44
冬至とは、北半球において「太陽の位置が1年で最も低くなる日」のこと。そのため、日照時間が最も短くなり、夜の時間が1年で最も長くなります。太陽の位置が1年で最も高くなる夏至と日照時間を比べると、北海道の根室で約6時間半、東京で約4時間40分もの差があります。
「1太陽年」を日数、または太陽の横道(太陽の見かけ上の通り道)の視位置によって24等分し、その分割点を含む日に季節を表す名称を付したものを「二十四節気(にじゅうしせっき)」といいます。季節を春夏秋冬の4等区分にするために考案された区分手法の1つで、1年を12の「中気」と12の「節気」に分類し、それぞれに季節を表す名前がつけられています。
当初は「冬至」を計算の起点にして、「1太陽年」を24等分した約15日ごとに設けていました。しかし地球の軌道は円ではなく楕円であるため、太陽の横道上での運行速度は一定ではありません。そこで黄道を「春分点」を起点とする15度ずつの24分点に分け、太陽がこの点を通過する時を「二十四節気」としました。これを「定気法」といいます。
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冬至とは、この「定気法」で「太陽黄経が270度になった時」のことを指します。天文学では270度になる瞬間を冬至と定義しています。西洋占星術では冬至を山羊座の始まりとします。
毎年だいたい12月22日頃になりますが、2016年の冬至は12月21日です。冬至が22日にあたる日が3年続き、4年目が21日になるようです。閏年がある年が21日になります。もちろん2016年も閏年です(※1年は365日+端数があるため、冬至が23日になった時代もありました)。
■冬至の風習〜冬至を境に運気アップ?〜
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「1年で最も日が短い」ということは、翌日からは日が長くなっていきます。中国や日本では、冬至は太陽の力が一番弱まった日であり、この日を境に再び力が甦ってくることから、「陰が極まり再び陽にかえる日」と考えました。これを「一陽来復(いちようらいふく)」といい、冬至を境に運が向く、運気がアップする考えました。
また古くから世界各国で、冬至を「太陽が生まれ変わる日」ととらえ、冬至の祝祭が盛大に行われています。実はクリスマスも、太陽の復活を祝う古代ヨーロッパの祝祭とキリストの生誕が結びついたもの。その年の冬至が12月25日だったため、諸説あったキリストの降臨日が12月25日になったといわれています。
■日本の冬至の風習
■冬至風呂
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江戸時代、江戸の銭湯から流行り始めたという冬至風呂。冬至に柚子をお風呂に入れて入ります。
「柚子」=「融通」が効く、「冬至」=「湯治」というような語呂合わせからきているとも言われていますが、冬至を境に運を呼びこむ前に、厄払いするための禊(みそぎ)の意味もあるようです。昔は毎日入浴しなかったので、運気アップの前に身を清めようとしたのかもしれません。冬が旬の柚子は香りも強く、強い香りのもとには邪気がおこらないという考えもありました。また、柚子は実るまでに長い年月がかかるので、「長年の苦労が実りますように」との願いも込められています。
■「ん」のつく食材を食べる
冬至に「ん」のつく食材を食べることで、「運」を呼びこめると考えられています。「ん」がつくものを「運盛り」といい、縁起を担ぎました。ガボチャ(南瓜=なんきん)が代表的ですが、にんじん、だいこん、れんこん、うどん、ぎんなん、なども良いとされています。カボチャ(南瓜)に関しては陰(北)から陽(南)へという意味も表しているため、全国的に食べられています。「運盛り」は縁起担ぎだけでなく、栄養をつけて寒い冬を乗りきるための昔ながらの知恵でもありました。
■冬至粥
今年も冬至粥ね pic.twitter.com/TlyqVE4uu2
— f@ys. (@w33coco) 2015年12月21日
小豆と一緒に炊いた冬至粥。小豆の赤が太陽を意味する魔除けの色ということから、こちらも厄払いの意味で食べられています。疫病にかからないという伝承もあり、体も温めてくれます。
■いとこ煮
カボチャと小豆を煮込んだ「いとこ煮」。地方によって冬至に食べるエリアがあります。本来のいとこ煮とは、硬いものをおいおい(甥)入れて、めいめい(姪)炊き込んでいくことから「いとこ煮」と名付けられ、カボチャと小豆以外の組み合わせもあります。
■コンニャク
コンニャクは「砂おろし」と呼ばれ、身体の中の悪いものを排出するために食べられていました。胃の中をそうじしてくれる「胃のほうき」や、「腸の砂おろし」とも呼ばれ、冬至に食べる習慣があります。
■星祭り
天台宗や真言宗の寺院で行われる「星供養」。各自の生まれ年の十二支に該当する当年星を祀って、除災招福、無病息災を祈ります。
【冬至に行われるイベント】
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ここからは、2016年の冬至に行われるイベントをご紹介します。1年の厄を祓い、運気アップをしませんか?
■あらかわ銭湯(東京)
出典:あらかわ銭湯公式サイト
東京都荒川区では、2016年12月21日の冬至に、荒川区内の銭湯で柚子湯を開催します。小学生以下のお子さんは入浴料無料で、ジュースのプレゼントも!開催する銭湯に関しては各浴場に問い合わせになります(荒川区内の銭湯一覧はこちら)。
■小平神明宮 星祭(東京)
[exblog] 小平神明宮星まつり(冬至祭) https://t.co/aniK2sx9bV
— snipe-i sano (@snipesano) 2015年12月22日
東京都小平市の小平神明宮で行われる星祭り。「冬至祭」とも呼ばれます。太陽の新生を祝う「予祝神事」を斎行して、一陽来復と家内安全を祈願します。来年大厄年にあたる人の厄年祓いもあわせて斎行します。
2016年12月21日の午後2時から開催されます。
■おかげ横丁 いとこ煮のお振る舞い(三重)
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三重県伊勢市、伊勢神宮内宮の門前町「おはらい町」の真ん中にある「おかげ横丁」では、冬至の日の午前11時から、先着300人に「いとこ煮」をふるまいます。伊勢神宮参拝と共に、厄払い&運気アップはいかがですか?
■伊勢神宮 冬至祭(三重)
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同じく、伊勢神宮では冬至に「冬至祭」を開催。この日は内宮宇治橋大鳥居中央から朝日が昇り、神秘的な光景を見ることが出来ます。また、「冬至ぜんざい」や「柚子」の振る舞いが行われます。
■サイエンスヒルズこまつ「真昼のスターウォッチング」(石川)
石川県小松市にある公共施設。「科学と交流のまち」の拠点として、科学や宇宙の展示見学、体験などができます。「銀河鉄道999」の作者・松本零士氏が名誉館長を務めています。
同施設では、冬至直前の2016年12月18日(日)の午後12時から、望遠鏡を使って太陽を観察するイベントが開催されます。天体観測は夜というイメージがありますが、真昼に輝く星「太陽」を昼間に観察。冬至に近づく太陽をじっくり見てみましょう!
■かぼちゃ供養(京都)
今日は案内していただいて矢田寺でかぼちゃ供養 pic.twitter.com/KiAp7HBuKd
— 京トキワ荘曽山 (@kyotokiwasoyama) 2015年12月23日
京都の矢田寺や安楽寺、不思議不動院で行われている「かぼちゃ供養」。安楽寺は夏の7月25日に行われますが、矢田寺では冬至に開催されます。中風(脳卒中)除けや諸病退散にご利益のある大きな「なでかぼちゃ」を本堂前に供え、無病息を祈願します。先着1000名に大釜で炊かれたカボチャが無料で振る舞われます。
■100万人のキャンドルナイト(全国)
2001年に、明治学院大学教授や「大地を守る会」の呼びかけで始まった「100万人のキャンドルナイト」。夏至と冬至の日の午後8時〜10時の2時間、電気を消してキャンドルの灯りで過ごそうという取り組みです。もともとは節電目的の「自主停電運動」でしたが、次第に全国に広がり、現在では各地で開催されています。
自主性を重んじるイベントで、会場などで団体で行う場合もあれば、各自治体やお店、コミュニティが自由に行う場合もあります。もちろん家で家族や一人でキャンドルを灯すのもOKです。
出典:MIKI Yoshihito.(♯mikiyoshihito)
近年では東京の増上寺や池上本願寺、大阪のオオサカシティ西梅田、群馬・水上の月夜野ビードロパーク、宮城の仙台市天文台、石川の金沢市芸術村、愛知の胎蔵寺など、全国で開催されています。また、タルトで有名な「キルフェボン」などのお店も参加しています。
今年の冬至はキャンドルの灯りで静かに1年を振り返ってみてはいかがですか?
【まとめ】
出典:WalkingGeek
いかがでしたか?調べてみると奥が深い冬至。今年は12月21日(水)。いつも通り何気なく過ぎていってしまう平日ですが、柚子湯やいとこ煮で楽しみつつ、運気アップのイベントに出かけてみませんか?
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